背景輝度の空間分布にはしばしば勾配がみられる.主な原因は光学系にあるが,蛍光像の場合は培地が弱い蛍光を発する場合にも起こる.この「背景勾配」は,輝度の値にもとづいて目的の領域を得る際に支障になる.単純な解決法は何も視界に捉えていない背景画像を撮像しておき,他の画像から差し引くことである.その際,露光時間が背景輝度に関係するため,露光時間を揃えるか,引き算の前に輝度をスケーリングする必要がある.また,背景勾配の原因が培地等の蛍光に由来する場合,勾配パターンは時間経過やサンプルごとに変化するため正しい背景画像を得るのは困難である.
撮影時に負担のない方法として,蛍光画像から背景画像を推定し,それを原画像から差し引くというアプローチがある.とくに単純かつ高速な背景画像の推定法として,縮小→salt&pepperノイズ除去→ランクフィルタ(蛍光像なら最小値,コントラスト像なら中央値)→low passフィルタ→拡大がある.縮小しているのはランクフィルタの計算量を抑えるためで,low passフィルタはランクフィルタの出力に含まれるエッジがアーティファクトになるのを防ぐため. ランクフィルタのサイズは,被写体の大きさより一回り大きいとうまくいくはずではあるが,推定された背景画像を見て主観的に決めた方が確実.小さすぎると被写体の内部に,大きすぎると被写体と背景の境界に,それぞれアーティファクトを生じる.自動化する場合,カーネルサイズを大きくするにつれて輝度の分散が低下し,背景の推定が正しくなってくると分散の減少がなまってくる性質を利用するとよい. 左から原画像,推定背景画像,背景平滑化像.下段はそれぞれの画像の右上から左下にかけての輝度プロファイル.
by edogawadai_bio
| 2006-05-10 00:21
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